YUKETENのコダワリすぎるサンプルたち…第一話

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ども、大変お待たせ致しました。先日の続きの靴ブログ。岸本です。




今回は、さきのブログでご紹介&軽く解説した「ユケテンサンプルたち」を具体的に解説していく第一弾です!!




まずは「サンプルってなんぞや?」「サンプルとデットストックの違いって何?」から解説していきますね。


以前に同じくユケテンのシャークソールのサンプルが出たときにも詳しく書きましたが、簡単にいうとサンプルとは「展示会でプロが見るためのものであり、これを見てオーダーがついた後に工場にこの形で発注をかけるためのもの」です。


前のブログでも書きましたが、つまりメーカーやブランドにとっては「このサンプルの出来いかんで、オーダー発注が決まる」ものなので、デザイナー本人の厳しいチェックがはいっていたり、そのブランドの中でも最高の腕をもつ職人が手掛けていたりと正に「プロ仕様」なのであります。これを基に発注がかかった商品は大量生産に入っていくのですが、いままでの岸本の経験上、市販品がサンプルのクオリティーを超えてくる、または同じクオリティーで上がってくることは極々稀でほとんどがサンプルよりもクオリティーが落ちて入荷してきていました。つまりは「サンプルは物としてのクオリティーが極上」ってことです。


さらに言っておくと、サンプルのみ製造されて市場にでなかったモデルが多いのも特徴です。しかもデザイン的にも素材・製法のコダワリもレベルがかなり高いにも関わらず、お蔵入りすることが多いのです。


これも新品バイヤー時代の経験からですが、なぜそうなるかというと、「デザイナーのコダワリがあまりにもマニアック過ぎて、一般のお客様に理解してもらうのが難しく、しかもコダワリによって造りこみも難度高い物になりプライスは高騰。店頭で簡単にうれないためにバイヤーは泣く泣くオーダーできなかった」ということが起こるのです。

よってお蔵入りしたモデルはデザイナー本人が実は本当にやりたかったことが詰まっているのではないかと、あくまで個人的見解ですが、感じる訳です。

サンプルは正規の価格よりも、かなり安価で、お蔵入りしたモデルなら世界でも数足しかない…。しかもデザイナーこだわりの一足が新品状態で手に入るという、至れり尽くせりなものなのです。


ただし、サンプルは基本的にサイズが1サイズもしくは2サイズしかないので、サイズが合う方には天国ですよね。(ちなみに岸本は足が小さいため、サンプル買ってもいつも大きすぎます…。サイズ合わないと高級靴ほど本来のポテンシャルを100%体験できないので、いつも悔しい思いをしています。サイズ合う方が本当に羨ましい限りです。)






さて、簡単にといいながら、サンプルの説明だけでこんなに時間を取ってしまいましたが、続いて「サンプルとデットストックの違い」について。


簡単にいうとサンプルとは「きわめて最近作られたものであることがほとんど」であり、デットストックとは「いつの年代に作られたかはそれぞれバラバラ」です。

モチロン、サンプルでも昔に作られたサンプルもたまにはありますが、サンプル市などは基本的に展示会で使われたあと、その半年後に既製品が出回るタイミングのややあとですので、だいたい作られて7か月~9か月くらいの間が平均ですね。オーダーつかなかったモデルに関してはもっと早くにサンプル品として売られることもあるくらいです。

そして、デットストックとは売れずに、もしくは使用されずに保管されていた靴を指します。

これもあくまで個人的見解なのですが、「デットストックだからといって必ず良いとは限らない」と僕個人は思っています。なぜならば「保管の仕方、もしくは製法、素材によっては年数がたっていると、履いているものよりも状態が悪化している場合がある」からです。一番の例としては高発泡ウレタン素材のソールの加水分解などですね。ここで具体例を出していくととんでもない時間を要するので、いずれ書くか、ご興味があるかたは岸本本人に直接聞いていただくとして、つまりは「あまり保管期間が長くないものほど価値が高いのではないか。」ということなんですね。


サンプルは最近作られたモデルが多いため、上のような心配が少なくて済みます。新品を買うのとほぼ同じだと考えていただいて問題ないと思います。





とまあ、恐ろしく長い前置きでしたが、早速その「ユケテンデザイナーのあまりにもコダワリありすぎるサンプルたち」のお話に移りましょう。(いまからが本題って恐ろしいブログですよねホント…。いつも読んでくださってる方々、お付き合いいただき本当にありがとうございます。)





では、第一弾はこちら。



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「YEKETENのワークブーツ 1301、1320型」の2足です。


この2足を見てどう思われますか?

まったく同じには見えない…。でも、なんか似てる…。けど、なんか違う…。て感じでしょうか?


実はこの2足はまったく同じ木型で作られたモデルなのです。
でも、なんか見た感じがまったく同じようには見えませんよね…。そこがユケテンというブランドの真骨頂というか、デザイナーのマニアック120%のこだわり部分なんです。



普通は同じ木型、製法、形を使う場合は素材、もしくは色替えをするのが基本です。もしくは全く違う木型を使うか、全然違うアッパーデザインにしてしまうものなんです。ところが、ユケテンデザイナーは素人目には良くみないと分からないレベルのマイナーチェンジかと思わせておいて、実はプロ目線では全然違う仕様のモデルをつくっているんです。まさに玄人にしかわからないコダワリ…。


次にユケテンデザイナーの「あまりにも微妙なマイナーチェンジ」をご紹介です。


一番2足を比べて違う点…。


「分かった!!素材の違いや!!!スエードと表革をつかってる!!」と思われていた方…。ある意味正解です!!しかし、それでは先ほど話した「素材&色がえするのが普通」と同じになってしまいますよね。



この2型の最大の違いはこちら。


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「ソール仕様の違い」です。


まず、スエードモデルの1301型にはビブラム社製の「トラクショントレッドソール 」を搭載。これは別名「ホワイトソール」とも呼ばれ、レッドウィングのアイリッシュセッターにも使われたことで有名なソールです。

そして、表革モデルの1320型には同じくビブラム社製の「#100コマンドスタイルソールタイプ」が使用されています。



この2つのソールの違いはトラクションソールが街履きと軽作業などの兼用ソール。比較的カジュアルで軽快なイメージ。そしてコマンドソールタイプはワーク、軽登山用でやや重めの印象になるソールです。



なんですが、後にお話ししていきますが、このソール選びもユケテンデザイナーの色んな意図を感じられるマニアックなコダワリがあるんです。


とりあえずここではソールの仕様の違いがかなりあるとだけ書いて、次に行きますね。




この時点でも再度いっておきたいのは、「本来はこんなチェンジ普通はやらない」んです。わざわざ同じ形なのにソールを変えて使い方の違う2足に仕上げても一般のお客さんはそんなことまでコダワリません。だから、色や素材などを変えて分かりやすくするのが普通なんです。


このユケテンのサンプルはそういう意味でかなり「異色」。素人さん、一般消費者さんを完全無視!!(笑)したこのソール選びには恐ろしく計算された理由があって、岸本自身も「こんなんないわ~~~」と絶句してしまった部分なのです。



とここまで、サンプルで似たタイプを2タイプも作ることが如何に面倒かつ商売的にはあまり意味をなさないことを伝えたくて2足の違いを話してきましたが、ここで2足の共通点の話をしたいと思います。


なぜならば、2足の共通点にも最近ヨーロッパ市場への進出が著しいユケテンゆえの他にないデザインがあり、その共通点を話した上で、2足のマイナーチェンジ点を話したほうがよりユケテンの世界観が伝わると思うからです。



共通点は


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先にも書きましたが、「木型」です。

この木型、横からみると良くわかるのですが、ワークブーツとしてはあまりにも甲部分と前のキャップトゥ部分が低く華奢で、ワイズも細めなんです。

つまりはこの靴は「ワークブーツだけど綺麗めにみえるワークブーツなのでは…」とこの時点で推測させます。


そして次なる共通点がこれ。

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「外羽根式のストレートチップ」であること。

外羽根式は紐の開け閉めを微妙に調整できる元々は狩猟や作業用の靴に多かった仕様です。ワークブーツもほぼこの外羽根式を採用しています。

そして重要なのが「ストレートチップ」であること。正確にはストレートチップというより「セミブローギング」と書いた方が正しいのですが、ここでストレートチップの種類の話まで始めてしまうと、恐ろしく遠回りしてしまい、とんでもないことになってしまうので、その違いやブローギングについてはまた「ストレートチップ特集」でもあったときにするとして(どうしても気になる方は店頭にて岸本まで。)、簡単にいうとストレートチップとはウィングチップなど他のデザインと比べて、「ドレス、フォーマル色の強いキレイめなデザイン」として、欧米の伝統の中で位置づけされているものなのです。

セミブローギングはビジネス、ドレスアップ、そしてカジュアルと汎用性高いストレートチップですが、しばしばワークブーツ型に使うデザイナーや昔のミリタリーブーツで式典でも履くようなものをみることはあっても、圧倒的に本来のワークブーツではウィングチップやスチールキャップのものが多く、ストレートチップは少ないのが現状なのです。


つまりは、綺麗めな木型を使ったドレスを意識したチップデザイン。これがこのタイプの神髄です。

「綺麗めワークブーツ」と言えばよいのか「ワーク風ドレスシューズ」といえばいいのか迷ってしまうような靴なんです。




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そして、これも共通のデザインですが、「横と後ろを意識したヒールカウンターのデザイン」。


再三このブログでも書いてきましたが、ヨーロッパのセレブ達は特に横と後ろからの見た目に気を配ります。それを意識した波型に湾曲したデザイン。そしてセンターステッチングの美しさ…。

アメリカンワークブーツでは有り得ない、というより絶対に気にしない部分へのこだわり…。

これはヨーロッパの高級靴市場への参入を意識していなければやらないことだと岸本は考えます。また、こういったコダワリがヨーロッパで受け入れられている理由だとも…。



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そして、これまた共通点なのですが、クォーターライニング(靴用語では腰裏、簡単にいうと内側の革のこと)に極厚のワックスレザーを使っていること。これはLLビーンの靴などに観られるワーク独特の素材使いです。

製法はブラックラピド製法。どちらもアメリカの靴の歴史に欠かせない伝統技法です。


ユケテンを岸本なりに解説すると「アメリカの伝統的工法とヨーロッパのデザインが融合したブランド」となります。欧米折衷。これがユケテンの真骨頂であり、唯一無二の点だと思います。

ユケテンはメイドインカナダが中心なのですが、これはそのアメリカの伝統を守るために元LLビーンのビラックラピド製法の職人たちがカナダで独立した工場を使っているためであり、アメリカアイデンティティーへのこだわりの半端なさがこのブランドの幹なのです。


そして、そんなアメリカの製法100%なブランドがヨーロッパ進出をもくろんでいる今の状況はとてもとて~~~~~も面白いんです!!! アメリカの伝統を使ってヨーロッパなことをしてる訳ですから!!! だからこそ、とても実験的な面白いサンプルが作られているんだなあと納得してしまいますよね。

いずれブランドがどう変わっていくかは分かりませんが、中々こんな革新的な時期をリアルタイムで体験できることも最近は稀なので、ユケテンの動向、作品はかなりの要チェックや!!!なワケです。





さて、そんな唯一無二のユケテンですが、今回の2足のように「こんなのも作ってみたいし、こんなのも作りたい…。どっちにしようか……。もうええわ!!! どっちもつくってまえ!!!!」(笑)とデザイナーが言ったかどうかは定かではありませんが、実験的マイナーチェンジモデルを出してきたワケです。


では、そのマイナーなこだわりの続きを。




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ソールの話をしましたが、先にも話したようにアッパーの革質も変えています。そしてアイレット(紐を通す穴)も変えているのが中々マニアック。


スエードのモデルはグリーンカラーです。バイヤ―時代の格言で「緑の靴は売れない」というのがあったくらい売れにくいカラーをわざわざサンプルにチョイス。きっと本当にこの色でやりたかったんでしょうね…。しかし、サンプルで緑だった靴を過去にもいろいろ見ましたが、市販されるのは色を黒や茶系に変えたものがほとんど…。皆さんもスニーカー以外であまり緑の革靴ってみたことないんじゃないでしょうか?

カジュアルに見えるカラーと素材を使用してきたのが1301型ですが、そのアイレットに黒鉛系のシックな金具を使用してきています。あくまでカジュアルだけどキレイめには仕上げる…。一番ありそうでなかったエリアの靴を作る…。それがユケテンの精神のように感じる部分です。





そして1320型は表革を使用していますね。

しかしこれがまた普通の表革ではないんですよね。
スプリング・ボックスといわれるレザーで、カーフに型押しを施したもので、イタリアなどの高級革メーカーに観られるレザーです。高級なカバンなどに良く使われるレザーであり、一見ラフでワーク風に見えるかもしれませんが、実は高級レザーなのです。ということはこのモデルは高級レザーにストレートチップのドレス仕様。なのにブラウンカラーと金色のワーク系アイレットを使用して、あくまでワーク感は無くさない…。これまた「このバランス、エリアの靴はないで~~~!!」というデザイナーの意気込みを感じてしまいます。





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そして、極め付けはやはりソール。

グリーンスエードに厚底の「ホワイトソール」を積んで、カラーリング的には「アースカラーにクリアカラーソール」を搭載した中々珍しい合わせ方になっていますが、ワーク伝統のソールを選ぶことによって、ただの変わったことをしている靴とは一線を画した「あくまでもワーク」しあげている点がいいですね。そしてストレートチップで綺麗さをプラスした独特の絶妙バランス。「街履き用だけど、ちょっと上品な雰囲気だぜい!!どうよ!!」(笑)モデル。



スプリング・ボックスレザーにストレートチップにワークビブラム。あえて先には話しませんでしたが、これは厳密には#100ソールとも違うんです。それよりも薄く、色も微妙なブラウンカラーをつかった特異なソール。恐らく別注品だと思われます。凄いコダワリップリですよね…。

異常に薄いソールと木型の華奢さがあいまって、履いたときに「これほんまにワークブーツ?」と思わせる綺麗めデザイン。「普通のワークやとおもたらあかんで!!!ドレス系ワークブーツやで!!」モデル。(笑)

ワークソールは分厚いものがほとんどで、それによって無骨なイメージがつくのですが、見事に「こんなのなかったよ!!」に仕上げています。


このソールの厚さの違いが一番最初に2足を並べたときに「なんか違う…」と思わせたんですね。


同木型でも全然違う使い方を想定した2タイプ…。それを現実にしてしまう…。

本当に凄いですわ…。






いつも色んな靴を見てて思うんですが、デザイナーやブランドの意図が違っていて、もしくは同じデザイナー、ブランドでもタイプによって全然ベクトルが違う…。ほんま靴づくりって奥が深すぎますよね…。



今回の2足も、靴デザイナーはいつも、伝統を守りつつも新しい自分たちしかつくれない「新型」を模索している…。そのことを再認識させてくれました。






そのことを痛感させてくれる中々衝撃の2足でした。


やっぱり魂のこもったものって美しいですよね。そんな靴が大好きです。








もっと、もっと話したいことはあるのですが、余りにも長くなったので今日はここまで。(続きは店頭にて(笑))


長々とご清聴ありがとうございました!!!












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